aoi_tomoyuki's blog

その時書きたかったこと書いてます。

百合乙女「お姉さま、未来から牛丼がきました!」

お姉さま「意味が分からないわ……」
百合乙女「これを見てください!!」
お姉さま吉野家の牛丼ね。作りたてのようだけど」
百合乙女「はい。美味しそうです。じゃなくて、ここを見てください」
お姉さま「未来急便? 聞かない名前ね」
百合乙女「それもそうなんですけど、発送日を見てください」
お姉さま「ええと、発送日2034年2月4日……って書いてあるわ」
百合乙女「そうです! 未来から牛丼が来たんです!」
お姉さま「あのねえ……」
百合乙女「待ってください。お姉さまの言いたいことは分かります。こんな紙切れじゃ、未来からきたことなんて分からないってことですよね」
お姉さま「つまり、その牛丼が未来からきたという別の証拠があるってこと?」
百合乙女「そうです。これを見てください!」
お姉さま「さっきからそればっかりね……。ボタンのようだけど」
百合乙女「牛丼発注ボタンです。二つのボタンがあります。こっちが未来発注ボタンで、こっちが過去発注ボタンです」
お姉さま「帰っていい?」
百合乙女「やめてください! 私を可哀想な子認定しないでください!」
お姉さま「じゃあ、アホな子認定にするわ」
百合乙女「アホでもありません! さっき、これが私の机の中に入ってたんです。牛丼発注ボタンって書いてあるから、お腹も空いてたし、試しに押してみたんです」
お姉さま「そうしたら?」
百合乙女「実際に見た方が早いですよ。さっきは、こっちの未来発注ボタンを押したんで、今度は過去発注ボタンを押してみます」

ポチッ

お姉さま「牛丼が……」
百合乙女「ほら、何もないところに牛丼が出てきました」
お姉さま「過去急便。発送日2001年7月21日」
百合乙女「私の言ったとおりですよね。さっきのアホな子認定を取り消してください」
お姉さま「今、そこ重要じゃないでしょう」
百合乙女「重要ですよ。お姉さまにアホの子扱いされたら、私生きていけません!」
お姉さま「分かったわよ……。あなたはアホの子じゃない。素直でとても可愛らしくて、あとは、ええと、まあ、どうでもいいわ」
百合乙女「いや、よくないです。素直で可愛らしくての続きを……」
お姉さま「この過去からの牛丼は食べられるのかしら」
百合乙女「ひどい……。それはともかく、過去からの牛丼も湯気出てますよ。作りたてですよ」
お姉さま「でも、作ったのは2001年の7月21日よね」
百合乙女「できたてみたいだから大丈夫ですよ」
お姉さま「それなら食べてみて」
百合乙女「それはちょっと……。未来の方なら食べてもいいですけど」
お姉さま「本当に? これ2034年の牛丼なのよ? この牛丼に使われてる牛は、現時点でまだ存在すらしてない。存在しない牛を本当に食べるの?」
百合乙女「やめてくださいよ。なんか怖いじゃないですか」
お姉さま「食べないの?」
百合乙女「そんなこと言われたら無理ですよ!」
お姉さま「ところで、このスイッチは? 『1』ってなってますけど」
百合乙女「『2』と『3』に変更できますね」
お姉さま「『2』に変えてみましょうか」

カチッ

百合乙女「あれだけ私に不安を与えておいて、あっさり変えちゃいますか」
お姉さま「あなただって、あっさりボタン押したじゃない」
百合乙女「まあ、それはそうですね」
お姉さま「スイッチ切り替えても、何も起こらないわね」
百合乙女「ですね。発注ボタンも押してみますか」

ポチッ

お姉さま「牛丼が……」
百合乙女「二つ出てきた……」
お姉さま「注文数のスイッチみたいね」
百合乙女「ですね。じゃあ、過去のボタンの方も」

ポチッ

百合乙女「……」
お姉さま「何でこうなるのよ」
百合乙女「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」
お姉さま「スイッチは『2』なのに、過去の牛丼は3つ」
百合乙女「カコギューなにやってるんですか! きっと店員が注文数聞き間違えたですよ」
お姉さま「そういうものなのかしら? とりあえず、『3』にして試してみましょう」

カチッ

百合乙女「まずはミライギューから」

ポチッ

百合乙女「おいっ!」
お姉さま「2つしか出てこないわね」
百合乙女「ミライギューの店員もミスってますよ!」
お姉さま「何なのよカコギューとミライギューって……」
百合乙女「細かいことはいいんです。一応、カコギューも押しておきますか」

ポチッ

お姉さま「今度は3つね」
百合乙女「カコギューのやつ、さっきは気を抜いてましたね。店員の教育がなってませんよ」
お姉さま「ところで」
百合乙女「何ですか?」
お姉さま「何も感じないの?」
百合乙女「何のことですか?」
お姉さま「牛丼が目の前に12個あって、あなたは何も感じないかって言ってるの」
百合乙女「たくさんありますねー」
お姉さま「……」
百合乙女「……」
お姉さま「どうするのよ……」
百合乙女「食べますか……」
お姉さま「仕方ないわね」
百合乙女「どっち食べます? 過去と未来」
お姉さま「どっちも気持ち悪いのは一緒よ」
百合乙女「それはそうですね」
お姉さま「私は過去の方を食べるわ」
百合乙女「それなら、私はミライギューですね」
お姉さま百合乙女「いただきます」

パクッ

百合乙女「あ……意外と美味しいですね」
お姉さま「そうね。普通の牛丼ね」
百合乙女「これなら、あと……10個ぐらい……なんとかなる……わけないですよね」
お姉さま「これだけ残ってると、逆に食欲なくなるわ……。こうなったら楽しく食べましょう」
百合乙女「楽しく?」
お姉さま「はい。あーんして」
百合乙女「え」
お姉さま「どうしたの? あーん」
百合乙女「人に見られたらどうするんですか。恥ずかしいですよ」
お姉さま「そんなの決まってるわ。私たちの愛を見せつけてやるのよ」
百合乙女「お姉さま、見られるのが嬉しい人なんですか……。いつの間にそっちの趣味が……」
お姉さま「はい。あーん」
百合乙女「あの……」
お姉さま「あーん」
百合乙女「あのですね、そんなたくさん口の中に入らな、むぐう……」
お姉さま「吐き出しちゃダメよ。口の中に入れたものはちゃんと食べないとね」


百合乙女「…………殺す気ですか」
お姉さま「はい。あーんして」
百合乙女「しませ、んうが……」
お姉さま「ほらほら。どんどん食べないと終わらないわよ」


百合乙女「……もう普通に食べたいです」
お姉さま「はい。あーんして」
百合乙女「ちょっと、さっきから私しか食べて、んが……」


30分後


百合乙女「うぐ……もう無理です。これ以上入れたら吐きます……」
お姉さま「これだけ時間かかって3つしか食べられなかったわね」
百合乙女「お姉さまは1つも食べてないじゃないですか!」
お姉さま「だって、あなたが気持ち悪そうに食べてるから、こっちまで気持ち悪くなって……」
百合乙女「それはお姉さまが無理矢理食べさせるからです」
お姉さま「そんなにぷりぷりしないの。可愛い顔が台無しだわ」
百合乙女「こんな仕打ち受ければ、ぷりぷりしますよ!」
お姉さま「あら」
百合乙女「発注機から紙が出てきましたね」
お姉さま「これ請求書だわ」
百合乙女「ええと、これはカコギューの請求書みたいですね。牛丼280円×7個で1960円ですね」
お姉さま「これどこに払うのかしら?」
百合乙女「さあ? 銀行の口座とかも書いてないですよね」
お姉さま「この発注機に入れるのかしら」
百合乙女「入れるところなんてありませんよ。そういえば、私、今日はお金ないですけど」
お姉さま「大丈夫。それぐらいなら、私が……」
百合乙女「どうしたんですか?」
お姉さま「ないわ。お金がなくなってる」
百合乙女「え、盗まれたんですか?」
お姉さま「今朝、一万円札財布に入れたのに、なぜか千円札が8枚になってるわ」
百合乙女「それって、もしかして、カコギューの1960円が……自動的にお姉さまの財布から」
お姉さま「そんなことが……」
百合乙女「でも、牛丼が過去から送られてくるぐらいですから」
お姉さま「ああっ!!」
百合乙女「お姉さま?」
お姉さま「今、目の前で、千円札8枚が消えたわ……」
百合乙女「お姉さま、また発注機から紙が」
お姉さま「未来からの請求書だわ」
百合乙女「うそ……これって」
お姉さま「牛丼1個1500円……」
百合乙女「えええええええええええええええええええええええええ! なんでこんなに牛丼が高いんですか」
お姉さま「2034年の未来で、牛丼が高騰するような何かが起こってるのかもしれないわね」
百合乙女「何ですかそれ、怖い怖い! こんな機械捨てましょう」
お姉さま「そうね。それがいいかもしれないわ」
百合乙女「あれ、この発注機、裏返すとダイヤルがついてます」
お姉さま「今は2034年ってなってるわね。何年から牛丼を発注するか決めるダイヤルかしら」
百合乙女「何年までいけるのかな……」
お姉さま「2050……2075……2100……2150」
百合乙女「2150年が限界みたいですね。試しに発注してみますか」
お姉さま「ちょっと、もう私もお金ないわよ」
百合乙女「まあ、ないならないで何とかなりますよ。どんな牛丼が出てくるのか、ちょっと楽しみです」


ポチッ



 同時刻、二人の女の悲鳴を聞いた者がいた。その者は声のした場所へ急行したが、そこには妙な機械が置いてあるだけで、肝心の悲鳴をあげた人間はどこにもいなかったという。