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aoi_tomoyuki's blog

その時書きたかったこと書いてます。

百合乙女「お姉さま、お弁当作ってきました」

お姉さま「あら、あなた料理なんてできたの?」
百合乙女「できませんよ」
お姉さま「……」
百合乙女「……なんで黙っちゃうんですか」
お姉さま「学食行ってくるわ」
百合乙女「待ってください! 一生懸命作ったんですよ!」
お姉さま「料理できないのよね?」
百合乙女「できません」
お姉さま「それなら、どうしてお弁当を作ったの? 嫌がらせ?」
百合乙女「お姉さま、サラッとひどいこと言ってません?」
お姉さま「わたしは不味い料理だけは我慢できないの」
百合乙女「わたしとお姉さまは恋人ですよね?」
お姉さま「そうね」
百合乙女「このお弁当には私の愛情がこもっています」
お姉さま「美味しいの?」
百合乙女「美味しいとかじゃなくて、わたしの愛情が」
お姉さま「美味しいの?」
百合乙女「吐くレベルではない……とお母さんは言ってました」
お姉さま「つまり、不味いってことよね?」
百合乙女「あはははははははははははははははは」
お姉さま「笑って誤魔化さない」
百合乙女「大丈夫ですよ」
お姉さま「どこが大丈夫なのよ!」
百合乙女「お姉さまへの愛のスパイスが効いてますから」
お姉さま「ちょっと待って」
百合乙女「はい。待ちます」
お姉さま「冷静に考えましょう」
百合乙女「あ、わたし冷製パスタは好きです」
お姉さま「今のはボケたの? 中途半端なことしないで」
百合乙女「うぅ……ごめんなさい」
お姉さま「愛の有無で料理の味は変化しないわ」
百合乙女「そんなことないですよ」
お姉さま「おいしい料理は愛の有無にかかわらず美味しいし、マズイ料理はどれだけ愛が入っていても不味い。これは歴然とした事実よ」
百合乙女「で、でも、美味しくなくても、お姉さまと一緒ならなにを食べても楽しいです。お姉さまも同じですよね?」
お姉さま「ええ。でも、同じ楽しいなら美味しい料理の方がいいわ」
百合乙女「だけど、わたしは、お姉さまのために、お姉さまのことを思って、作ったんです。この気持ち受け取ってくれないんですか」
お姉さま「そうね。あなたがそこまでしてくれたんだから」
百合乙女「お姉さま、じゃあ食べてくれるんですね!」
お姉さま「食べないわ」
百合乙女「え」
お姉さま「え、じゃないわよ。わたしは気持ちだけ貰う、って言おうとしたの」
百合乙女「食べてください!」
お姉さま「嫌よ」
百合乙女「どうして食べてくれないんですか。わたしのこと嫌いなんですか?」
お姉さま「どうしてそうなるのよ。わたしは不味い料理が許せないだけ」
百合乙女「美味しい料理を作れば食べてくれるんですか?」
お姉さま「ええ。喜んで」
百合乙女「じゃあ、これ美味しいお弁当だから食べてください」
お姉さま「え」
百合乙女「え」
お姉さま「え、じゃないわよ。どうすれば一瞬のうちに美味しくなるのよ!」
百合乙女「違います。このお弁当はもともと美味しかったんです」
お姉さま「意味が分からない!」
百合乙女「分からなくてもいいから食べてください!」
お姉さま「嫌に決まってるでしょ!」
百合乙女「決まってません!」
お姉さま「嘔吐しないレベルの味なんでしょう?」
百合乙女「うちのお母さんは舌が狂ってるんです」
お姉さま(あっさり親を切り捨てた……)
お姉さま「でも、その舌の狂った人に育てられたのよね?」
百合乙女「わたしはわたし。お母さんはお母さんです!」
お姉さま(親みたいなこと言い出した……)
百合乙女「お姉さまはわたしと一緒にいて、わたしの味覚が狂っていると思いましたか?」
お姉さま「それは思わなかったけど……」
百合乙女「いつもおかず交換しますよね?」
お姉さま「そうね。あなたはいつも一個余分に取っていくわ」
百合乙女「ええっ! 今それですか!」
お姉さま「じゃあ、また今度にするわ」
百合乙女「根に持ってたんですね」
お姉さま「……続けて」
百合乙女「今までおかず交換して、同じものを食べて、わたしの味覚を疑うようなことはありましたか?」
お姉さま「それは……ないと思うけど」
百合乙女「つまり、わたしとお姉さまは同じような味覚なんですよ」
お姉さま「でも、それと、この弁当が美味しいと主張する理由に関連はないでしょう?」
百合乙女「実は重大な発表があります」
お姉さま「そう」
百合乙女「もっと驚いてください」
お姉さま「早く言って。昼休みが終わってしまうわ」
百合乙女「実は、わたしはお弁当の味見をして、美味しいと思ったのです!」
お姉さま「……」
お姉さま(この子、馬鹿なのかしら)
百合乙女「黙らないでくださいよ」
お姉さま「どうして初めからそれを言わなかったの?」
百合乙女「うぅ……なんとなくです」
お姉さま「一番初めに料理ができないって明言したわね。それなら、どうして美味しい料理ができたの?」
百合乙女「それは……わたしが天才だからです」
お姉さま「もういいわ。学食に行きましょう」
百合乙女「待って」
お姉さま「行くわよ」
百合乙女「待ってください!」
お姉さま「なに?」
百合乙女「わたし、もっともっとお姉さまと仲良くなりたかったんです。もっともっとお姉さまに喜んで欲しかったんです。だから、そのために、今日はお弁当を作ってきました。でも、お姉さまは食べてくれなかった。わたしのこと信用できませんか? お姉さまにとって、わたしはその程度の存在なんですか?」
お姉さま「違う。そうじゃないの。少し意地になってただけ。ごめんなさい。あなたの気持ちも考えずに……。わたしが子供だったわ」
百合乙女「お姉さま……」
お姉さま「ねえ、このお弁当食べてもいい?」
百合乙女「はい、喜んで!」
百合乙女(とは言ったものの、味は大丈夫かな……)
お姉さま「それじゃあ、時間もないことだし、早速食べましょうか。開けるわね。……あら、見た目は悪くないわ」
百合乙女「見た目だけじゃなくて、味も美味しいですよ」
百合乙女(たぶん)
お姉さま「それじゃあ、タマゴ焼きから……」
百合乙女「どうぞどうぞ。それ自信作ですから」
百合乙女(形だけ)
お姉さま「そうなの? それは楽しみね」
お姉さま(ぱくっ)
お姉さま「( ゚д゚)」