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aoi_tomoyuki's blog

その時書きたかったこと書いてます。

勇者「あっ! 宿代が1ゴールド足りない!」

勇者「近くにスライムいないかなー。1ゴールドでいいんだけど……」
スライム「え」
勇者「え」
スライム「……」
勇者「スライムだ」
スライム「あ、あの、ちょっと、なんで剣抜いてるんですか」
勇者「今夜の安眠のために、あと1ゴールド必要なんだ」
スライム「持ち物でも売ればいいじゃないですか」
勇者「お互い悔いのないように全力で戦おうぜ!」
スライム「さわやかに言ってもダメですっ! 戦ったら、私、虐殺されますから!」
勇者「じゃあ、優しく殺すから」
スライム「意味わかんないです。ここに1ゴールドあるんで、勘弁してください。私の全財産です」
勇者「ただでくれるの?」
スライム「ただじゃないですよ。見逃す代わりです」
勇者「ええーっ! 見逃すの?」
スライム「当然じゃないですか! これ私の全財産ですよ?」
勇者「言ってなかったけど、実はさあ、あと1ポイントの経験値でレベルアップなんだよね」
スライム「だ、だ、だ、だから、どうしたっていうんですか。別に、今レベルアップしなくたっていいじゃないですか」
勇者「これも言ってなかったけど、実はさあ、今日誕生日なんだ。だから、ダブルのお祝いっていうか」
スライム「いやいやいやいや、そういうパフパフ嬢の誕生日みたいな後付け設定やめましょうよ」
勇者「なんでパフパフ嬢なんて知ってるの?」
スライム「そこツッコまなくてよくないですか?」
勇者「まあ、いいや。とりあえず戦おうよ」
スライム「勇者様とあろう者が、いまさらスライムでレベルアップなんてダメですって!」
勇者「あー、それは一理あるかも」
スライム「勇者様がスライムいじめなんてカッコ悪いですよ」
勇者「うんうん。イメージは大事だよね。やっぱ勇者だし」
スライム「そうでしょうとも。さあ、この1ゴールドを持って今日は宿でゆっくり」
勇者「あー! しまった。忘れてたよ」
スライム「え」
勇者「今日、お気にのパフパフ嬢が来るんだよ」
スライム「はぁ」
勇者「で、この前約束しちゃったんだ。次会う時にカッコイイ技見せるって」
スライム「そうですか」
勇者「うん。で、その技っていうのが、次のレベルで覚えられるんだ。ごめん。死んで」
スライム「ちょっちょ、ちょっと待ってください。落ち着いて落ち着いて」
勇者「慌ててるのはそっちだよ」
スライム「あっ、あ、あそこに別のスライムがいます。あいつを倒すのはどうでしょう」
勇者「ええー! 仲間売るのー。引くわー。このスライム引くわー」
スライム「違います! 私は仲間を売ったりしません! 私は、本当はスライムじゃないんです」
勇者「じゃあ、なに?」
スライム「手ごわそうで手ごわくない少し手ごわいスライムです」
勇者「え? 新種?」
スライム「その通りです!」
勇者「じゃあ、やっぱり倒さないと。モンスター図鑑コンプ目指してるからさあ」
スライム「いやいやダメですって! そういうメーカーに踊らされるようなやり込み要素とか、邪道の極みですって」
勇者「なに言ってるのか分かんないけど、とりあえず、図鑑は埋めたいから」
スライム「あーごめんなさいごめんなさい嘘です嘘です。私、普通のスライムです」
勇者「え、マジ?」
スライム「はい、平凡なスライムです」
勇者「うわースライムに騙された。へこむわー。もういいよ。お前倒してパフパフ嬢とパフパフするから」
スライム「ちょっと待ってくださいよ。さっき、勇者はイメージが大事だって言ったじゃないですか。パフパフ嬢呼んでるなんてイメージ悪いですよ」
勇者「あれ、スライム職業差別とかしちゃうタイプ?」
スライム「私じゃないですって。世間的なイメージです。お金で女買う勇者とか言われますよ」
勇者「あー、それはちょっとやだな」
スライム「そうでしょうそうでしょう。パフパフ嬢なんてやめて真面目にお嫁さん探しましょう」
勇者「……」
スライム「どうしたんですか? さあ、パフパフ嬢のことなんて忘れて、今日は宿でゆっくり」
勇者「友達とかいないし」
スライム「は?」
勇者「彼女とかできたことないし」
スライム「あ、あの」
勇者「仲間とかいないし。一人旅だし」
スライム「だ、大丈夫ですって。勇者様カッコイイですから。探せばいくらでも見つかりますって」
勇者「でも、嫁ってパフパフしてくれないでしょ……」
スライム「それは勇者様が教えればいいじゃないですか」
勇者「教えればしてくれるかな?」
スライム「しますよ。勇者様の嫁ですよ。絶対します。ほら、さっそく町の掲示板にお嫁さん募集してきましょう」
勇者「うん。そうするよ」
スライム「はい。そうしてください。じゃあ、私はこれで失礼します」
勇者「うん。ありがとう。ちょっと元気になったよ」
スライム「それはよかった。私も勇者様を手助けできて光栄です」
勇者「それじゃ……あ、手が滑って剣が」
スライム「ぎゃあっ」
勇者「レベルアップ!」